【コラム】同窓会

こんにちは、代表講師の髙倉です。

昨日は、旧・代官山音楽院の2期生だった人たちが集まって、当校の「先輩の声」にも寄稿をしてくださっている手戸愛理さんのドイツ国家資格の技術試験合格祝いを兼ねて小さな同窓会を開きました。

私も呼んでいただき、飯能近辺で楽しい時間を過ごしました。2期生は卒業後10年ほど経過しているので、すでに独立して個人工房を営む人、地方の楽器店付設工房を切り盛りする人、次のステップを模索している人もおり、講師の世代よりもさらに先を見て進んでくれています。

飯能の当校は築50年の古屋をお借りして、小さいながら質実をモットーにやっていますが、卒業生の人たちが各地でより大きな華を咲かせてくれることは本当にうれしいことです。

かつて皆さんが共に学んだ学舎としての島村楽器テクニカルアカデミー(旧・代官山音楽院)はなくなってしまいましたが、それぞれの学年ごとに集まった人たちに特徴もあり、常に新鮮だったことが思い出されました。その多くの人たちがこうして業界に留まって仕事をしてくれていることは本当にうれしいことです。

少し話しが飛びますが、昨日2期生の皆さんと話をしていて感じたのは、普段話す言葉がとても大事だということです。普段の言葉遣い、よく使う言葉が知らず知らず日常と将来を形作っていくということです。私もいっそう気をつけて、言葉を大事にしたいと思いました。

これからは終身雇用が崩れ、個人のキャリアの時代になると言うことも聞きますが、人と人とのつながりが仕事をつくるということは変わらない原則であるように思います。その時に言葉が人をつなぐことを忘れてはいけないと気づかされました。


これから弦楽器製作・修理を目指す方には、この道は狭き門に見えるかもしれません。しかし、本当にそれを仕事にしたいという気持ちと決意があり(気持ちだけではダメで、文字通り振り返らない決意が必要です)、自分の癖に何年もかけて取り組み、技術と知識を備え、演奏家をサポートするためにどのような価値を提供できるかということを日々考えることを訓練していくと、必ず道は開け、また「どうしてもあなたにお願いしたい!」という仕事が自然と生まれてくるように思います。

卒業生の皆さんは背中でそういうものを示してくれているように思います。

大きな飛躍は必要ありませんが、畑の土を耕すように、1歩1歩を日々できることを進めていくと、数年後には見たこともない世界が広がっていくものです。

ぜひ音楽と楽しい器でこの世界を満たしたい!と思う方は、臆せず弦楽器の技術者の道を検討してみてください。

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