【コラム】専門学校とスクール

こんにちは、代表講師の髙倉です。

タイトルに書いた「専門学校とスクール」ということについて質問をいただき、誤解されることが多い内容のため、こちらにも書いておきたいと思いました。

2018年4月現在、日本の国内には認可専門学校、あるいは専修学校としてのヴァイオリン製作学校はありません(※当校調べ)。

他学科、他科目を有している総合的な学校の中にヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスなどの技術学科があったとしても同じことで、認可の専門学校はありません。本来は文科省の認可を受けた学校でなければ、専門学校は名乗れないのですが、そのあたりはやや曖昧なようで実際には認可ではなくとも専門性のあることを学ぶ場という意味で専門学校を名乗るケースが昔からあります。

過去には認可専門学校がヴァイオリンの製作や修理を専門とする学科を運営していたケースはあったのですが、それも近年はなくなりました。

したがって、皆さんが調べて出てくる弦楽器の製作や修理を学べる学校は、当校も含めてすべて今この時点ではスクールなどという扱いになるはずです。

過去にあった認可専門学校がなくなってしまった理由は、弦楽器製作・修理技術の指導というものが、従来の専門学校の仕組みに合わないためであったと思います。

実際にかつて東京・五反田にあり、全国的に多くの優秀な技術者を輩出してきたヴァイオリン製作学校(当校の岩田先生の出身校であり、10年ほど前に閉校した4年制の学校)も、草分けの学校として弦楽器業界では知られていますが、区分としてはスクールでした。スクール(私塾)であったからと言って、そこを出た方々に実力がないなどということはまったくありません。実情はむしろその逆ではなかったかと思います。

専門学校の仕組みの中で、できるかぎり多くの学科を揃えて運営しようとしてもヴァイオリンの製作・修理技術はなかなかその仕組みに収まらず、またそこで指導をしようとする意欲ある技術者を見つけるのも大変難しいのです。

また、専門学校として成立するためには、基本的に土地・建物を所有しており、図書室を併設したり、教員の数も決められていたりするため、採算をとって中身のあるものをつくることができないのです。これは残念ながら職業育成の実情に行政の仕組みが沿っていない例と言えるでしょう。

したがって、皆さんが通われる学校が有名であろうとなかろうと、また内容の違いに関わらず、弦楽器の技術を教える学校に国内で行くのであれば、それはスクール(私塾)に行くということです。しかし、それであれば、中身のあるところをしっかり調べて選んでいただきたいと切に思います。過去に学校選びを間違えて後悔をしている人を何人も見てきたためです。すでに大学も全入時代となって久しく、学校に行くこと自体が目的という時代ではありません。

形よりも中身に目をあてた、皆さんの実力とキャリアを育てる学校(スクール)選びをしていただけるよう願っております。

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