【コラム】楽器製作は仕事になるか?

こんにちは、代表講師の髙倉です。

来校の有無を問わず、よく聞かれる質問として、「楽器製作では食べていけませんか?やっぱり修理が仕事になりますか?」というものがあります。

確かに日本は比較的演奏人口も多く、修理の依頼は絶えないということは確かです。

しかし、楽器製作では食べていけないかというと、決してそうは思いません。

もちろん、絶対ということはどのような場合にもありません。常に個々人の資質と行動は問われますが、それでも、ものごとの考え方には2通りの方向があると思います。

1つは「やっぱり修理の需要が多いから、仕事としてやっていくには修理だね」という考え方。

もう一つは「楽器製作を生業にしたいから、どうすれば楽器製作で仕事をしていけるだろうか」という方向に考えるということです。

前者の考え方を出発点とすると、当然どのようにして質のよい修理を数こなすかという考えに導かれていきますし、結果的に修理の勉強に重きを置くことになると思います。

後者の考え方を出発点とするとどのように自分のキャリアを形作っていけばよいのかという方向に考えが導かれていき、楽器製作を学び、楽器を販売することも覚えていくことになるでしょう。

どちらも可能なのです。ただ、どのような選択をするにしても、それに見合った計画と行動が必要になってきます。

皆さんはどの方向に自分の人生の「梯子(はしご)」をかけたいと考えていますか?

私自身は楽器製作と修理を両方取り組みたいと考えてきました。楽器製作には自分を表現する喜びがあります。その一方で楽器修理は、自分を表に出すことなく楽器と奏者によりそって仕事をする喜びがあります。どちらも音楽に仕える仕事です。

そのため、当校でも楽器製作と修理をバランスよく身につけていただきたいと考えています。もちろん、その中で、より修理に力を注ぎたいという人も出てくるでしょうし、ゆくゆくは製作家としてやっていこうとと考えて進むようになる人も出ると確信しています。もちろん、両方をバランスよくやっていきたいと思う人も出てくるものと思います。

楽器製作と修理は仕事に向き合うときのスタンスが180度違うと言ってよいほど違いますが(一方は自分を表現し、一方はなるべく自分が仕事に出ないように隠さなければならないので)、それぞれに伝統を理解し、新しいものを探し求める本当にすばらしい仕事だと考えています。

皆さんも、ぜひその両方を見てみてください!

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