【講師のコラム】AI と弦楽器技術者
- 2018.06.14
- 講師のコラム
こんにちは。代表講師の髙倉です。
先日、学校のホームページを無事に新しい場所に移動していただけました。これまで検索しても見つからないというお問い合わせがありましたが、これからは徐々に見つかるやすくなるものと思います。運営サポートをして下さっている皆さんに本当に感謝します。
さて、不定期にはなるとは思いますが、こちらに時々【講師のコラム】として、これから弦楽器の技術者を目指したいと考えている方と一緒に考えてみたいことを掲載させていただきます。
HPの移管作業とちょうど時期が重なったので、最初のテーマは「AIと弦楽器技術者」にしてみました。
先日、学校のホームページを元の場所から、今の場所に移していただく際に、ホームページの状態をプロの方にチェックしていただき、いろいろなアドバイスをいただきました。
その時の話の中で、web技術者のプロの方から、「しかし、弦楽器技術者の仕事はAIに取って代わられることもないから、いい仕事ですね。Webの仕事はどんどん変化を続けているので、この先ホームページなどがなくなる時代も来ると言われていますし、私たち(webクリエイター)もどうなるか分かりません。」と言われました。
確かにヴァイオリン製作・修理師という仕事は、あまり世の中の動きには左右されない仕事であると言えるかもしれません。何しろ400〜500年はほとんど姿を変えずに続いている仕事なのです。そして、それは音楽がある限り続く仕事だとも言えます。
ただし公立の学校はないので、多くの方に弦楽器の技術を学んでいただきたいと思っても、今は限られた人にしか提供ができません。また学費を納めていただき、3年間という期間しっかり取り組むことができる方でなければ受講できません。将来、学校の基盤が整ったら、よりやりやすい形で、より多くの人に弦楽器の技術に触れてもらいたいとも思っています。
弦楽器の技術は演奏者に楽器を作って提供したり、演奏者の楽器を調整・修理したりすることを通しての喜びだけでなく、その作業をしている技術者・職人・製作者・修理師本人が、物づくりと音楽が好きな人であれば作業そのものの中に幸せを感じられる仕事であるため、多くの人がこの仕事に気づいてほしいと思っているのです。
もちろん、入学すればあとは自動的にうまくいく学校などはこの世界には存在しません。この仕事に必要なことをしっかり学び(それは技術だけではありません(!))、仕事に取り組む前に、「自分自身のあり方」に取り組む必要があります。しかし、それができれば、弦楽器の技術を通して世の中に提供できることは山のようにあるでしょう。
職人は、仕事に取り組む前に、自分自身(のあり方)に取り組なければなりません。癖を直し、得意なことを伸ばし、仕事の質を変えていかなければ、気持ちのよい仕事はできません。ただ、ひとたびそのような姿勢が身につけば、マイナーな仕事であるだけに、まだまだ未知の領域や、改善の余地が多い、宝の山のような仕事・業界だと思っています。
この学校のコラムでも、皆さんに弦楽器技術者の業界に眠っている沢山の宝物を少しずつ紹介できればと思います。
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