【コラム】見て、見て、見なさい

こんにちは、講師の髙倉です。

今日は東京ストラディヴァリ フェスティバル 2018を見に六本木の森アーツセンターギャラリーに足を運びました。

最近、ニュースにもなったZOZOの前澤社長が購入されたという1717年製の名器Hammaも展示されており、大変見ごたえのある展覧会でした。途中東京芸大の澤先生と宮本笑里さんなどによる演奏もあり、とても充実した内容でした。

ストラディヴァリの楽器が21台も集まるというのは、日本では過去に例がなかったと思います。主催をされた方々の苦労は並大抵ではなかったと思いますが、見学者にとってはとても勉強になる機会でした。

このような展覧会は、弦楽器製作・修理を始めたばかりの人にとって、またこれから勉強を始めようとする人にとってはまたとない勉強の機会です。私も学び始めた頃は、先生に「見て、見て、見なさい。毎日(よい楽器を)見なさい。」と言われました。それぐらいよい楽器を毎日のように見ることは大切なことです。実物を見ることができれば一番よいのですが、そうでなかったとしても写真などを見るだけでも目は養われていきます。

よい楽器とは何でしょうか。

私の先生の考えではアマティやストラディヴァリの本物の楽器がそれに当たりました。今では私自身もそう思っています。どのようなルーツを製作家としてもつかということによって、よい楽器の定義は変わってきますが、私自身のルーツから、アマティ・ファミリーやストラディヴァリの楽器を見ることをお勧めしたいと思います。最初によいものをひたすら見ることで、自然とそのルーツとは異なるものを見たときにすぐに分かるようになります。あれこれ見るのではなく、よいものだけをひたすら見ることが大事です。

そして、私たちは「音」を物理的に作り出していくので、形を見ることはいずれ音につながることなのです。形としての物質的な発音原理を持たない楽器はありません。形を見て、コントロールすることができなければ音をコントロールなどできません。

まだ行かれていない方は、ぜひこの機会に六本木ヒルズ森タワーに足を運んでみてください。

 

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