【コラム】スポーツと弦楽器技術者
- 2018.06.29
- 講師のコラム
こんにちは、代表講師の髙倉です。
今日は久々にスポーツ大会に参加して汗を流してきました。
弦楽器技術者とスポーツは縁遠いいように思われるかも知れませんが、工房にこもることの多いわれわれの仕事では、外に出て運動をしたり、汗をかいたりすることは、気分転換にもなり、新しい仕事の発想につながります。
何より、複数で行うスポーツは、様々な人とのつながりを作ることにも適してもいます。私が知る限りでも、テニスや自転車、登山や剣道、ヨガやヨットなどさまざまなスポーツに取り組む技術者は意外と多いのです。
技術者の仕事は特殊な仕事です。私もついつい工房にこもりたくなる気持ちは分かりますが、しかしそれだけでは、人とのつながりが薄れたり、特殊な人同士としかつながれなくなり、弦楽器技術の世界はだんだんと狭い世界になってしまいます。当然仕事の幅も減ってしまいます。
沢山の人と弦楽器のおもしろさを共有するには、ただ自分がその楽しみを知るだけでなく、できる限り自分の体を外に向けることも大切であるように思うのです。
皆さんがすでにこれまでスポーツをしてきたことがあるのでれば、その経験を大切にして下さい。留学先で、剣道などで現地の人と弦楽器だけではない関係を作った人もいれば、新たに始めたスポーツで仕事の幅を広げている人もいます。どんなスポーツでもいいのですが、発汗し、足を使うことで、頭に血がめぐり、よい発想を得られます。
昔、私自身が祖母から教わった言葉ですが、中国では「人は足から老いる」と言われるそうです。足は、いい仕事を永くするための基礎であり、バロメーターでもあるようです。
また古代ギリシャにはアリストテレスと呼ばれる哲学者がいましたが、散歩をしながら講義をしたため、「逍遥学派(しょうようがくは)」と後に呼ばれたりしています。
皆さんも、朝起きて頭がボーッとしていたのに、外に出て通学・通勤のために歩き始めたら、忘れていたことを突然思い出したり、新しいことをひらめいたりしたことが経験としてあるのではないでしょうか。
ヴァイオリン製作学校たくみでも、いにしえの大哲学者にあやかり、天気のいい日には近くの飯能河原を散歩しながら講義ができればと思います。
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