【講師のコラム】技術交流について

こんにちは、代表講師の髙倉です。

先日、台湾の奇美博物館の助理研究員でもある弓修理師の呂元富先生に東京都内にお越しいただき、フランス弓に関するご講演の機会をいただきました。

台湾の奇美博物館は弦楽器の専門家の間では世界的に知られた博物館で、世界トップレベルの弦楽器と楽弓のコレクションを保有しています。体系的に収集されたコレクションとしては、世界一と言っても過言ではないと思います。マンゴーかき氷や小龍包以外にも台湾には名物がありますよと呂先生もおっしゃっていましたが、本当にその通りだと思います。

呂先生からは近著を当校にご寄贈いただいておりますが(寄附・寄贈御礼のページ)、今回の講演では楽弓の専門家としての知識とご経験をシェアしていただきました。

さて、弦楽器の技術の仕事の楽しさの1つは、技術者自身がの望めばその交流と仕事のフィールドが文字通り世界中に広がっていくことではないかと思います。ヨーロッパのみならず、アジアを見るだけでも近年は非常に優秀な製作家、修理師などの技術者が出てきています。さらにインターネットの普及により、弦楽器への関心と技術や専門知識を向上させていこうという意欲にはもはや国境はないと言ってもよいかもしれません。

より多くの人が弦楽器技術のおもしろさ、楽しさ、奥深さに目を留めてこの道に入って下さることにより、技術者同士の交流がさらに国を広げて広がります。そして、多くの握手が交わされるたびにきっとお互いに対する敬慕の気持ちから小さな平和が積み重なっていくものと感じています。

これは大げさなことではなく、どのような技術者にもできることであり、ある意味技術者の仕事の特権ではないかと思います。しかし、それができるようになるためには、不断の探究と、オープンな技術・知識交流がこれからも欠かせません。当校では、ヨーロッパはもちろんのこと、アジア地域の素晴らしい技術者の方々、また国内一流の先輩技術者の方々とも連携を深めて、次の世代に技術を引き継ぐ土台作りをしていきたいと思います。また、もちろん皆さんの希望によっては、皆さん個々人がどのようにして弦楽器技術を通して世界とのよいつながりと関係を築いていくかということもお伝えしていきたいと思います。

 

奇美博物館(日本語ページ)

https://www.chimeimuseum.org/ml/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E/4

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