入門者のための道具紹介〜刷毛(はけ)もしくは絵筆
- 2018.08.07
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昨日、【番外編】として先にヤギの刷毛を紹介してしまいめしたが、今日弦楽器製作で使われる刷毛や絵筆の素材には様々なものがあります。
そのほとんどは絵を描くときに使われる絵筆の素材と変わりませんので、ニス塗りのための刷毛や絵筆に興味がある方はぜひ、画材メーカーや画材ショップのホームページや資料をご覧になってください。
さて、現代イタリアで楽器を塗装する際のニス用の筆として挙げられるものはいくつかあるのですが、代表的なのものは、
・Martora=イタチ(テン)の毛
・Pero di bue =牛の毛
・Vaio =リスの毛
などになります。これ以外にも合成繊維の筆も多用されます。
また、接着剤である膠(にかわ)などには剛毛である豚の毛が使われることが多いです。
上記の分類は、きわめて大雑把ではあるのですが、私たち技術者は分類学者ではないので、一応上記のような名称で売られているものを使っているというだけで、あえてそれ以上のことは述べないことにします。
そのように言うのは、実は絵筆のメーカーさんであっても、自分で動物の毛を取りに行くわけではないので、毛の種類に確信が持てず、おそらくこれだろうという経験値で毛を仕入れて使っていることがあるからです。そのため、私たちのような使用者が素材を断定するのはさらに難しいと言わざるを得ません。
ただし最終的には、もちろん刷毛や絵筆も使い心地が大事なので、思うように使えるかどうかということが最終的な判断基準にはなります。
また、少し話が逸れますが、技術が身につけば、刷毛や筆を選ばずとも、ある程度の仕事はできるものです。しかし、特定の仕事においてはやはり穂先が揃いひどよいコシと含みを持たせられる筆があるに越したことはありません。このあたりも多少は経験が必要なことです。
最初にあげた分類の中にあるMartoraは、近年毛皮の衣類としての着用が疎まれるようになったことから、入手が難しくなりつつある素材だともメーカーから聞きます。Martoraは絵筆の世界ではコリンスキーという名前で知られます。
余談ですが、弦楽器製作や修理の技術に使われる道具や素材は、人々の生活の歴史の副産物からつくられことが少なくありません。そのため、生活様式や価値観が変化する中で、その影響を受けながら続いてきました。
皆さんの身の回りにはどのような筆がありますか?筆のメーカーは決して多くはないので、ぜひこちらも調べてみて、どのような素材が使われているか見てみて下さい。10年後に同じ素材が見つかるかどうかということを気長に見ていくのも私たちの仕事の一部分です。
追記
刷毛、絵筆は以前のコラムで紹介したお店や、通販ショップの他、身近な画材店でも見つかるものがあります。
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