入門者のための道具紹介〜弓鋸(ゆみのこ)

今日は鋸(のこぎり)の一種である弓鋸(ゆみのこ)について紹介します。

弓鋸(ゆみのこ)は文字通り弓のような形をして、鋸の歯を左右にある持ち柄で引っ張るようにして刃に張りをもたせて使う鋸です。少し言葉では分かりにくいので、当校にお越しの際に見ていただければと思います。

鋸にはこの弓鋸以外にも様々な種類があり、日本の替え刃式の両刃もしくは片刃鋸などは今や世界中で使われています。

そのような中でも、この弓鋸だけは用途が特殊であるせいか、ヨーロッパでは見かけても、日本ではほとんど見かけることがありません。

弓鋸はおもしろい形をしていますが、弦楽器製作においては昔から使われている道具で、これ一つあれば楽器作りに必要な工程のほとんどをまかなえる優れた機能を持っています。

国内や既製品ではほとんど見ないので、よい刃を見つけることがなかなかできないのが悩ましいところです。写真の弓鋸はバンドソーという機械の鋸に使う刃を転用しています。

逆にこの鋸は、刃さえあれば本体は自分で作ることができるので、用途に応じて様々な大きさで作ることもできますが、現代では電気があれば、先にも名前をあげたバンドソーという機械などがあり、とても便利なのでこの弓鋸の出番は実際には多くありません。

しかし、機械を100%使いこなすには、まずは手工具をしっかり使えなければならないので、当校の初年度はすべての工程を機械を使わずに手工具のみで楽器を作っていただきます。

電気を必要としない弓鋸を使いながら、昔の楽器作りに思いを馳せるのもこの仕事ならではの小さな楽しみではないでしょうか。

Print Friendly, PDF & Email