入門者のための道具紹介〜平鑿(ひらのみ)

ヴァイオリン製作では、様々な道具を使いますが、鑿(のみ)と呼ばれる道具は種類が豊富で、やはり欠かせない道具の一つです。

写真のように、鑿には柄の長いものや短いものなど、様々な種類があります。

鑿には刃表(はおもて)と刃裏(はうら)と呼ばれる部分があり、このうちの刃裏が平らなものを平鑿(ヒラノミ)と呼びます。写真の鑿は全て平鑿です。

写真の中で真ん中の鑿は出丸(でまる)と呼ばれる刃の先端を丸くした形をしていますが、これもやはり平鑿の一種です。こちらは先の投稿でも紹介したL.A.C.で販売されているオーストリアのメーカーでStubaiというところのものです。刃の裏側にあたる部分が真平らになっている(俗にベタ裏と呼びます)のが日本の鑿との違いです。

ちなみにイタリアではこれらの平鑿をScalpello(スカルペッロ)と呼び、弓製作や宝飾細工などに使われる特殊な小さい鑿をbedano(ベダノ)と呼びます。

これに対し、刃裏が曲面を描いている鑿がありますが、それは丸鑿(まるのみ)と呼ばれます。次回紹介したいと思います。

平鑿は様々なサイズがありますが、学校でもっとも多用するのは日本では六分(ろくぶ)と呼ばれるサイズの刃幅約18mm のものと、二分(にぶ)と呼ばれる刃幅約6mmのものです。さらに三分(約9mm)や大きなものや小さいものもあると便利ですが、大きいものは使用頻度が極端に少なく、小さなものは多くの場合彫刻刀や小道具鑿で十分な場合が多いです。

上にも書いたことですが、西洋の平鑿は刃の裏側がベタ裏と呼ばれる真平らな状態になっていることが多く、日本ではこのベタ裏は実は嫌われます(日本の鑿には「裏透き(うらすき)」と呼ばれる窪みが作られているます)。しかし、ヴァイオリン作りにおいては、むしろベタ裏でかまわない場合も多いのです。

 

 

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