【コラム】得意を伸ばす

こんにちは、代表講師の髙倉です。

今日は「得意(分野)を伸ばす」ということについて書いてみたいと思います。

弦楽器技術の指導を日々させていただき気づくことに、得意な分野は人それぞれですあるということと、ほとんどの人は自分の本当の得意分野に気づいていないということです。

得意分野に気づいていないとどのようなことが起きるのでしょうか。

技術の習得は最初に楽器作りから始まり、そこで刃物の仕立て方、研ぎ方、扱い方を学び、楽器の構造を理解していきます。その上で今度は修理を学んでいくのですが、一例としては、最初の楽器製作が大きな関門になり、途中であきらめてしまう人がとても多いのです。

つまり、「思っていた以上に楽器作りが難しい!」と思い、つまづいてしまい(実際に楽器作りは簡単ではなく、またそれだからこそ専門的な職業になりうるのですが)、実は繊細な修理ができる潜在力を持っているにもかかわらず、そこに至る前に「自分は向いていない」と判断してしまうことがあるのです。

そのため、講師の仕事のもっとも大きな部分は、実は授業で行われる個々の作業や仕事のできないことや欠点を指摘するのではなく(そのようなことは誰にでもできます)、その人の得意と関心がどこにあるのかということを一緒になって探すことです。

さらに言うならば、技術学校に入ったにも関わらず、実は企画やマネージメントやプロデュースなどの仕事が得意で関心も高かったということを見出す人もいます。そのため、技術学校の本分を忘れずに、何がその人にとっての将来の道すじとなりうるのかということを心を広くして見る力と経験も講師には必要になります。

このことが重要なのは、インターネットが発達して、個人が企業並みの発信力を持つことができるようになった現代では、得意なことを見つけたり、得意なことが今なければそれをキャリアとして創っていくことが、ますます大事になってきているからです。

何となく自分はこれが得意だ!ということを感じている人はそれを是非伸ばしてみましょう。まだ自分の得意が分からないけど、とにかく弦楽器に関わりたい!という人は何が得意なのかを一緒に探ってみましょう。

ここでは大雑把な話しかできませんが、実は学校では、これらの個々人の特性と得意分野に、仕事をしていく上での計画(戦略・マーケティング)をどのように加味していくかという観点からも指導をしていきます。

近道はなく、日々の積み重ねだけが唯一の道ですが、それを忘れなければ前進は必ずあると思っています。

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