【コラム】求人あり その2
- 2018.11.03
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こんにちは、講師の髙倉です。
先のコラムで、求人について触れましたが、もう少し書いてみたいと思います。
音楽業界に限らず、人材不足が著しいのが日本の特徴になりつつある時勢です。
弦楽器業界にかぎってお話しすると、弦楽器職人(技術職)のみならず、実は営業職(販売のエキスパート: 楽器の構造、歴史、製作者、修理手配など広範な知識とコミュニケーション能力を必要とする専門職)も足りていません。
しかし、技術職であれ、営業職であれ、人材を育てるには一朝一夕とはいかず、その上、人によって得手不得手も大きく異なるため、ほぼ個別に育てていかなければならず、誰か良い人を紹介してほしいと言われても、人材を育てていない限り即座に対応できることではありません。これが学校を続けていかなければならない理由でもあり、開校の理由でもあります。
私自身も13年前に指導を始めた頃は「育てた人材を就職させられるのですか?」ということを耳にタコができるほど質問されてきましたが、実情としてはここ数年は逆に求人を余らせてしまっている状況です。
しかし、いくら求人があると言っても、就職紹介にも一定のポリシーがあり、そのお店や工房の求める人材に相応しくないと考えた場合は、紹介をしないことにしています。
これは間違った紹介をしてしまったり、就職率をよく見せようと無理やり就職させてしまうと、ミスマッチが起こり、離職が増え、学校の信用も失われ、結果的に学校に求人をいただけなくなってしまうからです。
お店も、受講生も、学校も、そしてひいてはお客様にも喜んでいただける就職でなければなりません。
このように考えると、求人は余っていますが、それに見合うレベルに真剣に自己研鑽を積んで仕事に就こうという人がもっと必要だと言い換えることもできると思います。
簡単ではないかもしれませんが、弦楽器の仕事は本当に楽しく、技術を磨けば磨くほどに思うように仕事が形作れるおもしろさもあります。ぜひ若い人たちに関心を抱いてもらいたいと思っています。
現在は、私自身個人として楽器製作の要望もいただいきつつあるため、その仕事が忙しくなると来年以降はあまり多くの受講生を受け入れることができなくなるかも知れません。しかし昨今の業界を見るにつけ、少しずつであれ若い意欲のある人たちを業界につなげてくる大切さを改めて感じています。
弦楽器業界は、技術と知識を次代に伝え、また新たな弦楽器の楽しみ方を一緒に創造していく人材を間違いなく求めています。