先輩の声
【こちらのページでは、これまでに共に弦楽器技術を研鑽し、現在各地で活躍する(皆さんの先輩となる)技術者の声を掲載させていただきます。】
にしむらバイオリン (京都)
弦楽器製作家・修理師
西村祐司 Yuji Nishimura
髙倉先生との出会いは10年前、バイオリンに対する真摯な姿勢に惹かれて教えを乞い多くのことを学びました。
授業ではバイオリン製作に必要な基本的技術を勉強しますが、仕事に対する姿勢や考え方も同時に教わります。幅広く深い知識と長年の経験から様々な質問に答えてくださりますが、ときには自分で考え調べ試して発見するよう促されます。決して受け身ではいけない、自主性が大切なのだと。
私たちが前身の学校で教わった当時は2年制でした。夜遅くまで作業することも多かったのですが、それでも卒業後仕事としてやっていくには経験値が足りません。このたびの学校では3年次もあるということで、より多くの経験と習練を積むことができるでしょう。魅力的で羨ましいカリキュラムです。
毎年ここから有能な後輩が出てくるかと思うと私たちも負けていられません。より一層研鑽を積んで参りたいと思います。
Peter Benedek工房 (ドイツ)
弦楽器製作・修理(ドイツ国家資格マイスター取得)
手戸愛理 Airi Tedo
弦楽器技術者になりたいと決めてから、その狭き門を日本で見つけるのはとても大変でした。そんな時、髙倉先生との出会いがありました。先生の弦楽器に対する熱意や探求心にとても感銘を受け、2年間、道具の仕込み、製作と修理の基礎を学び、知識や技術だけではなく、人とのつながりの大切さを学びました。
髙倉先生のもとで学んだ後、沢山のアドバイスを頂き、ドイツへ渡ることを決意しました。 語学学校に通った後、WürzburgのMarkus Lützel工房で3年間の修行を終え、その後3年間、同工房に勤め、現在はMünchenのPeter Benedek工房に勤めています。
弦楽器専門店Risicare(静岡)
弦楽器修理師
安田 宏介 Yasuda Kosuke
物作りをする仕事に就きたい!と思い弦楽器職人の道を選びました。知識が全くないため周りの話についていけず何度も辞めようと思いましたが、高倉先生の授業を通して、こんなに奥深くワクワクする仕事は他にはないと思うようになりました。卒業後は師匠に弟子入りして技術を磨き、学校の講師も勤めました。高倉先生はその期間も、何度もアドバイスをくださいました。こんなに親身になってくださる方は他にはいないと思います。高倉先生をはじめ、沢山の方々の支えで、今の職場では開店準備から携わり、貴重な経験をさせていただいています。職人として生きていくのは簡単ではありませんが、今では、一生をかける価値のある仕事だと思っています。
山猫バイオリン工房(群馬)
弦楽器製作・修理師
金子斉一郎 Seiichiro Kaneko
ものづくりの仕事がしたいと考えていた大学時代、バイオリンの音に魅了され専門学校の門を叩いたのが高倉先生との出会いでした。卒業後はなかなか安定した職場につけず転々としている中、高倉先生には事あるごとに相談をし多くのアドバイスと手助けをいただきました。いくつかの工房、卸売店や地方や東京の量販店で勤めてきましたが、学校で教わったベースとなる技術と「考えて仕事をする。」ということが、環境が変化する中で助けてくれました。今では自分の工房を持ち、ヨーロッパの工房でも研鑽を積みながら一人でも多くの人に弦楽器を楽しんでもらえるよう日々つとめています。
(有)鈴木弦楽器(大阪)
弦楽器修理師
山下天生 Amo Yamashita
二十代も後半に差し掛かかった頃、『生涯の仕事』という、ありきたりな自問自答が今に繋がります。学生生活の大半を運動部で過ごし、弦楽器に触れた事もない自分にとって、この進路変更は決して早いものではありませんでしたが、楽器製作の基本から修理修復のメソッドまで、髙倉先生の知識や経験を垣間見れたことは、それを補って余りあるものでした。現在は大阪の弦楽器専門店にて研鑽を積む毎日ですが、授業を通して学んだすべてが日々の礎となっています。探求心を失わず、新しい技術や失われた歴史を追い求める先生の姿は、後を行く者にとって良き道しるべであり、越えられぬ壁でもあります。この度の開学に際し、当時より更に凝縮された環境を手にする次世代の職人を純粋に羨ましく思います。
ヴィオラ・ダ・ガンバ工房L’Arbre(東京)
弦楽器製作家・修理師
井上 樹 Tatsuki Inoue
ヴィオラ・ダ・ガンバの製作に携わる仕事をしたい!と漠然と考えていた高校時代、弦楽器フェアでの髙倉先生との出会いが今の自分がいるこの道の始まりでした。授業ではヴァイオリンの製法、修理を学ぶ一方で、放課後にガンバを手探りで作り始めました。髙倉先生から古楽器の構造や製図に関するアドバイスをいただき、在学中に1本完成させることができた時の感動は、今でもよく覚えています。そして、学んだことの一つである「考えながら作る」ということも自分の大切な製作スタイルになっています。卒業後は江畑正一氏のもと弦楽器工房アルモニアで7年間研鑽を積み、平成30年1月に独立をすることができました。これからもヴィオラ・ダ・ガンバという素晴らしい楽器をたくさんの人に知ってもらえるように挑戦していきます。
株式会社日本ヴァイオリン(東京)
弦楽器修理師
橋本(中村)弥生
私は元々ものづくりが好きで、大学では建築、家具を学びました。
新しい空間、デザインのヒントを追い求める日々の中で、幼少期より身近にあったヴァイオリンに改めて興味が湧き、弦楽器技術の道に進むきっかけとなりました。そして初めての師匠として出会ったのが髙倉先生でした。髙倉先生の技術力や知識の深さ、探究心は、先生の発信されている記事からも明らかで、あえて紹介する必要はないかと思いますが、先生から直接学んだ二年間は本当に毎日が濃く、特別な時間となりました。学校という形で、同じ道を志す仲間と切磋琢磨しながら過ごせたのもとても良かったです。
授業は勿論ですが、先生の背中から学ぶ事も同じくらい多かったように思います。
・人と人との繋がりを大切にする事
・自身の技術や知識を惜しみ無く伝える姿勢
・師弟関係なく、意見を求めて様々な視点から真実を探ろうとする探究心
・周りに流されず、大切なものは何かを見極めようとする姿勢
・何事も楽しむ事
・少年の心を忘れない事
卒業して時間がたった今でも先生から学ぶことは尽きません。私は今、都内の弦楽器専門店で、技術者として働いています。こうして今があるのも、高倉先生との出会いから始まった人と人との繋がりのお陰です。
最後に受講を検討されている皆様へ
弦楽器技術は特に資格があるわけでもなく、進路が保証されているわけでもありません。
そして学んで直ぐに現場の即戦力となるのは難しい職業です。でもだからこそ、基礎をどこで誰に学ぶかが重要だと思います。私は刃物の研ぎに始まる基礎中の基礎から高倉先生に学ぶことができ、本当に幸運だったと思っています。学ぶ側が本気でぶつかれば、何倍にもして返して下さる先生です。
有意義な時間を過ごし、新たな道が拓けることを願っています!
株式会社アルシェ(神奈川)
楽弓製作家
田中 裕貴 Yuki Tanaka
私は、大人になってから趣味でバイオリンの製作を始めて、本格的に職人になろうと思い先生の下で学び始めました。製作を学び始めて、自分の目指す道を考えていた時に、先生が「何か一つ誰にも負けない武器を作りなさい」と言ってくれたことをキッカケに、楽弓というものに惹かれている自分を見つけ、その道に突き進むと決めました。決めた後、先生は専門外でありながら、一緒になって考え、いろんな方面で協力して頂き、今はそのおかげで、アルシェという弓の専門メーカーで製作に携わることが出来ました。今は、より良い弓をお客様に提供出来るよう日々製作に励んでいます。そんな先生の生徒を想ってくれる人柄に加え、前身のカリキュラムより1年長くなり、さらに深く学べるシステムの中で製作に打ち込める環境は、私達の頃よりレベルが高くなれることは必至です。先生の下で学べることは、私のように、今後の技術者人生において掛け替えのないものなることでしょう。