代表挨拶
弦楽器の製作・修理の世界をつなげていく
「ヴァイオリン製作学校たくみ」のページをご覧いただきありがとうございます。
当校は小さな学校ですが、すでにこれまでに10年以上にわたり、多くの若い方々を技術者として育ててきた実績をもっています。
日本国内で弦楽器の技術学校を設置する理由は、国内の現場に即した訓練を効果的に受けられる学校が必要だと考えること、また弦楽器や音楽の業界に絶えず新しい感覚と発想をもった若い人たちが入っていく道をつくることが弦楽器を取り巻く文化や環境を後押ししていくことになると確信しているからです。
また、若い人たちが続くことで、世界的にもトップレベルの腕前を持つ多くの日本のベテラン職人の方々の技術と知識と経験を受け継いでいくことができると考えています。
インターネットの普及などに伴い、現在は、多少の語学力と意欲があれば弦楽器の情報は遠くまで行かなくても得ることができる環境も整ってきました。その一方で、弦楽器に初めて接する方や専門家ではない一般の方から見れば、音楽と楽器そして製作や修理の全体像はますます分かりづらいものになってきたようにも感じます。
500年ほど前に、南ドイツ~イタリアのあたりで生まれたヴァイオリンなどの弦楽器とその製作技術は、元来とてもシンプルなものでした。木の切り方、保存の仕方、削り方、塗装の仕方、使われる弦、使われる技術…すべては当時の人々の生活と経験の中から編み出され、その多くは中世よりも古くから連綿と受け継がれてきたものであったと思われます。
この学校では、増え続ける情報を整理しつつ、かつてもっともシンプルであった弦楽器の技術に光をあてて、何百年にもわたって環境と調和をしてきた製作と修理の技法を皆さんと解き明かしていきたいと思います。そして、今の社会の中で、それらをどのように生かせるか考えながら、地球にも人々にもやさしい方法をより多くの人々に運ぶことに努めていきたいと思います。
音楽を支え、音楽のそば近くで働くことを通して貢献していきたいと思う方はぜひ一度当校の扉を叩いてみてください。多くの方々に弦楽器の技術がこの先100年のために受け継がれ、これまでになかったような新しい視点と発想で活用され、音楽をとりまく世界がいっそう豊かになっていくことを心より願っています。
2018年4月1日
代表講師 髙倉匠